えみこの絵本ガイド

二児のママであるえみこがおすすめする絵本のご紹介

【絵本レビュー】にほんごをまなぶえほん 3【スーザンももこ】

言葉は、子どもたちの世界を広げ、豊かな心を育む魔法だと、日々子育てをする中で強く感じています。幼い子どもを持つ親として、どうすれば言葉の扉を楽しく、自然に開いてあげられるだろうかと、いつも考えてきました。そんな中で出会ったのが、『にほんごをまなぶえほん 3』でした。この絵本は、まさに私たちの探していた「言葉の宝箱」でした。

言葉を育む喜びと、絵本が紡ぐ親子の時間

毎日、4歳と2歳の娘たちの成長を見守る中で、言葉の力がどれほど大切かを実感する日々です。特に、上の子が好奇心旺盛に「これはなあに?」「どうして?」と問いかけ、下の子が少しずつ言葉を真似しては、私や姉の言葉を吸収していく姿は、愛おしくてたまりません。そんな時期だからこそ、言葉を学ぶ絵本選びは、親にとって大きな意味を持ちます。

日常のきらめきを言葉に変換する魔法

『にほんごをまなぶえほん 3』は、日本語の初級の動詞に特化した絵本です。「動詞」と聞くと、少し難しく感じるかもしれませんが、ページをめくると、そこには子どもたちの日常のきらめきが、そのまま絵と言葉になっています。例えば、「たべる」「のむ」「はしる」「ねる」といった、私たち大人にとっては当たり前の動作が、鮮やかなイラストとともに描かれています。

うちの娘たちは、絵本のページを開くたびに、「あ!ごはんたべてる!」「みてみて、ねんねしてるー!」と大興奮。まさに、絵本の中の出来事が、自分たちの生活とぴったり重なる瞬間に、目を輝かせます。特に2歳の下の子は、絵を指差して「まんま!」と言いながら口をもぐもぐさせたり、「ねんね!」と言いながら目を閉じたりと、絵本の動作を全身で真似してくれます。言葉が、具体的な行動と結びつく瞬間を目の当たりにするのは、親として最高の喜びです。

4歳のお姉ちゃんは、さらに一歩進んで、絵の中から見つけた動詞を使って短い文を作ってみようとします。「おとこのこが はしる」「おんなのこが たべてる」といった具合に、絵を詳しく観察し、自分で言葉を紡ぎ出す姿は、感動的ですらあります。この絵本は、単に動詞を覚えるだけでなく、その言葉が持つ意味や、それが私たちの世界でどのように使われているかを、子ども自身の体験と結びつけて教えてくれる、そんな魔法のような力を持っていると感じています。

遊びの中から自然に身につく語彙力

この絵本の素晴らしい点は、学習という意識をさせずに、遊びを通して自然に言葉が身につくところです。私たちは、絵本を開くたびに、まるで宝探しをするかのように、たくさんの動詞を見つけては、それを使って会話を広げます。

「この子はなにをしているのかな?」「ママも同じことできるかな?」と私が問いかけると、娘たちは元気いっぱいに答えてくれます。「おどってる!」「うたってる!」と、絵の中の登場人物になりきって、一緒に歌い、一緒に踊り出すこともしばしば。絵本を読んでいると、いつの間にか部屋が小さな劇場に変わったかのように、笑い声と動きに満ち溢れます。

また、日本語を学ぶ絵本としての側面も、非常に丁寧に作られていると感じます。言葉は、ひらがなで大きく書かれていて、子どもが自分で指でなぞりながら読む練習もできます。そして、それぞれの動詞が、日常のさまざまな場面で使われる様子が描かれているため、子どもたちは言葉の意味を文脈の中で自然に理解することができます。例えば、「のむ」という動詞一つにしても、コップで水を飲む場面、赤ちゃんがミルクを飲む場面など、多様なシーンが描かれていることで、言葉の持つ広がりを感じさせてくれるのです。

親子の会話のきっかけが、無限に広がるのもこの絵本の魅力です。絵本を読んだ後も、公園で遊んでいる時に「あ!〇〇ちゃん、はしってる!」、お風呂で体を洗っている時に「ママ、あらうね!」と、絵本で学んだ言葉を自然と口にするようになりました。このように、絵本の中の言葉が、現実の世界とシームレスに繋がっていくことで、子どもたちの語彙力はぐんぐん伸びていきます。言葉を知ることは、自分自身の感情を表現したり、周りの人とコミュニケーションを取ったりするための大切な土台となりますが、この絵本は、その土台を楽しく、そしてしっかりと築き上げてくれると感じています。

心に響くイラストと、繰り返し開きたくなる魅力

『にほんごをまなぶえほん 3』は、その教育的な価値だけでなく、絵本のデザインやイラストそのものにも、深く心を惹かれます。

ページをめくるたびに、新たな発見

この絵本のイラストは、温かみのある優しいタッチで描かれており、カラフルながらも目にうるさくなく、子どもたちの想像力を掻き立てる工夫が凝らされています。登場する子どもたちの表情は生き生きとしていて、それぞれの動作が持つ感情までが伝わってくるようです。例えば、「わらう」のページでは、子どもたちの屈託のない笑顔が、見ている私たちまで笑顔にしてくれますし、「なく」のページでは、悲しそうな表情に、思わず「どうしたの?」と声をかけたくなってしまいます。

細部まで丁寧に描き込まれた背景も、見逃せません。公園のブランコや滑り台、お部屋のぬいぐるみやおもちゃなど、子どもたちにとって身近なものがたくさん描かれていて、ページをめくるたびに「ここにもこんなものが隠れてる!」「この子、さっきのページにも出てたね!」と、新たな発見があります。これにより、子どもたちは飽きることなく絵本の世界に没頭し、繰り返し読むことを楽しんでくれます。何度も開くたびに、新しい物語が生まれるような、そんな魅力がこの絵本には詰まっているのです。

また、紙質もしっかりしていて、小さな手が何度もめくっても簡単には破れない丈夫さも、親としては嬉しいポイントです。角が丸く加工されているのも、安心感を与えてくれます。このような細やかな配慮が、子どもたちが絵本を大切に扱い、長く愛着を持ってくれる理由の一つにもなっているのだと思います。

成長に寄り添う、長く愛せる一冊

この絵本は、子どもたちの成長段階に合わせて、さまざまな楽しみ方ができる点も素晴らしいと感じています。2歳の下の子は、絵を見て言葉を真似たり、指差しをしたりして、言葉の存在を認識する段階です。絵本に描かれた動詞を、自分の体を使って表現することで、五感を通して言葉を吸収しています。

一方で、4歳の上のお姉ちゃんは、すでに多くの言葉を知っているため、この絵本は「知っている言葉の確認」だけでなく、「表現の幅を広げる」ためのツールとして活躍しています。「この子は速く走っているね」「ゆっくり歩いているね」といったように、動詞に形容詞を付け加えたり、「走るのが好き」「歌うのが楽しい」といったように、自分の感情を言葉で表現したりするきっかけにもなっています。

さらに、絵本の動詞をきっかけに、「これはどうして〇〇するの?」「もし〇〇したらどうなる?」といった、より深い問いかけや思考へと発展していくこともあります。例えば、「食べる」のページでは、「何を食べるの?」「どこで食べるの?」といった質問が自然と生まれ、食卓での会話へと繋がっていきます。このように、子どもたちの知的好奇心を刺激し、思考力を育む手助けをしてくれるのです。

将来、ひらがなの読み書きを学ぶ段階になった時も、この絵本はきっと大活躍してくれるでしょう。大きく分かりやすいひらがなで書かれた動詞は、文字と音、そして意味を一致させるための、最高の教材となります。絵本を通して言葉を学ぶことは、ただ知識を増やすだけでなく、言葉を愛し、大切にする心を育むことにも繋がると信じています。

全ての「言葉を大切にしたい」家庭へ

『にほんごをまなぶえほん 3』は、単なる語彙の学習にとどまらない、親子で分かち合う温かい時間と、子どもたちの健やかな成長を願う全ての家庭に、自信を持っておすすめしたい一冊です。

この絵本を手に取るたびに、私は言葉の持つ無限の可能性と、それが子どもたちの世界をどれほど豊かにしてくれるかを改めて感じます。子どもたちの小さな一歩一歩の成長を、言葉の力でしっかりと支えていきたいと願う親御さんにとって、きっとかけがえのない存在となるでしょう。

こんな家族に、とっておきの一冊を

  • 言葉の力をぐんぐん伸ばしたいご家庭へ: 日常の動詞を、楽しく、自然に身につけさせたいとお考えなら、この絵本は最高のパートナーになります。視覚的な情報と言葉が結びつくことで、記憶にも残りやすくなるでしょう。
  • 親子のコミュニケーションを深めたいご家庭へ: 絵本をきっかけに、たくさんの会話が生まれ、子どもたちの好奇心を刺激し、親子の絆をより一層深めることができます。絵本を通じて、お互いの感情を共有し、共感する喜びを味わってください。
  • 日本語を楽しく学び始めたいご家庭へ: 日本語を母語としないお子さん、あるいは日本語学習を始めたばかりのお子さんにとって、この絵本は生活に密着した言葉を覚えるための、優しく楽しい入り口となるでしょう。イラストが豊富なので、言葉の意味を感覚的に理解しやすいはずです。
  • 子どもの「なぜ?」「これなあに?」を大切にしたいご家庭へ: この絵本は、子どもたちの知的好奇心を刺激し、たくさんの疑問を引き出してくれます。その一つ一つに丁寧に寄り添い、言葉で世界を説明してあげることで、子どもたちの思考力と表現力は大きく育っていくでしょう。

『にほんごをまなぶえほん 3』は、子どもたちの言葉の芽を優しく育み、やがて大きく花開かせてくれる、そんな希望に満ちた絵本です。この一冊が、多くのご家庭で愛され、子どもたちの未来を輝かせる一助となることを心から願っています。ぜひ、この温かい絵本を、ご家庭の絵本棚にお迎えください。言葉の魔法が、きっと日々の生活を彩ってくれるはずです。にほんごを まなぶ えほん (3) どうする? どうなる?・あきます あけます

タイトル にほんごをまなぶえほん 3
著者 スーザンももこ / 久東明日香
出版社 岩崎書店
発売日 2021年11月