えみこの絵本ガイド

二児のママであるえみこがおすすめする絵本のご紹介

【絵本レビュー】とりあえずやってみようよ【スジャン・リム】

とりあえずやってみようよ:心と体の声に耳を澄ます、魔法の絵本

4歳と2歳、二人の娘を持つ私にとって、毎日はジェットコースターのような日々です。 想像を超える喜びと、想像を超える疲労。そして、子供たちの感情の波に翻弄されることも少なくありません。 そんな時に出会ったのが、『とりあえずやってみようよ』という絵本でした。 この絵本は、子供たちが自分の気持ちをコントロールし、穏やかな気持ちを取り戻すための、優しく力強いガイドとなってくれます。

マインドフルネスの入り口:小さな子供にも理解できる言葉と絵

この絵本は、マインドフルネスという言葉を直接的に使っていませんが、その本質を鮮やかに捉えています。 複雑な哲学や理論は一切排除し、子供たちが理解しやすい言葉と、柔らかな色合いの絵で、心と体の声に耳を澄ますことの大切さを教えてくれます。 例えば、主人公の女の子が不安を感じている場面では、彼女の表情や仕草が繊細に描かれており、小さな子供たちにも共感できるでしょう。 そして、深呼吸をしたり、ゆっくりと体を動かしたりする具体的な方法が、無理なく自然な流れで紹介されている点も素晴らしいです。

親子の共感と成長を促すストーリー

主人公の女の子は、新しいことに挑戦する際に、不安や戸惑いを感じます。 これは、子供だけでなく、大人にも共通する感情ではないでしょうか。 彼女が様々な場面で感じるネガティブな感情を、絵本は決して否定しません。 むしろ、その感情を受け止め、それを乗り越えるためのヒントを与えてくれます。 この共感できるストーリー展開こそ、この絵本の最大の魅力と言えるでしょう。

娘たちは、絵本の主人公の女の子と自分を重ね合わせているようです。 新しいおもちゃで遊ぶ時、お友達と遊ぶ時、初めて習い事に行く時… 絵本を読み終えるたびに、彼女たちは自分の気持ちを言葉で表現するようになり、少し難しい状況に直面しても、「とりあえずやってみようよ!」と、前向きな言葉を発するようになりました。 これは、私にとって何よりも大きな喜びです。

具体的な実践方法:日常に取り入れやすいヒントが満載

この絵本は、単なる物語ではありません。 読み終えた後、すぐに実践できる具体的なヒントが満載です。 深呼吸の方法や、体を動かす簡単なエクササイズなどが紹介されており、親子のコミュニケーションツールとしても活用できます。 例えば、夕食後、一緒に深呼吸をする習慣を始めてみました。 最初は戸惑っていた娘たちも、今では自分から「深呼吸しよう!」と言うようになりました。 こうした小さな習慣が、家族の時間をより穏やかで豊かなものにしてくれています。

心地よい絵と優しい語り口:五感を刺激する絵本

絵本のイラストは、パステル調の優しい色合いで、見ているだけで心が落ち着きます。 ページをめくるたびに、心地よいリズムで話が進んでいくので、娘たちは飽きることなく、最後まで集中して聞いてくれます。 そして、語り口も優しく、まるで母親が語りかけているかのような温かさを感じます。 これは、子供たちが絵本の世界に没頭し、心を開いてくれる重要な要素だと感じます。 絵本を読む時間自体が、私たち家族にとっての癒しの時間になっています。

親御さんへのメッセージ:一緒に成長できる絵本

この絵本は、子供たちのためだけのものではありません。 私自身も、この絵本から多くの学びを得ました。 子供たちの感情に振り回されがちな日々の中で、まず自分の気持ちを落ち着かせることの大切さを改めて認識しました。 そして、子供たちと一緒に深呼吸をすることで、私自身の心にも穏やかさが戻ってくるのを感じます。 親として、子供たちに教えたいことはたくさんありますが、その前に、まずは自分が落ち着いていなければ、何も伝えられないと気づかされました。

どんな子供や家庭に勧めたいか

この絵本は、様々な年齢層の子供たち、そして家族にオススメです。 特に、新しい環境に戸惑いを感じたり、感情の起伏が激しい子供たちを持つご家庭には、心強い味方となってくれるでしょう。 また、日々忙しく、子供たちとの時間を大切にしたいと願う親御さんにも、心温まる時間を提供してくれるはずです。 この絵本を通して、子供たちと一緒に成長し、心と体の声を大切にする豊かな生活を送りましょう。 少しの勇気と、深呼吸。 「とりあえずやってみようよ!」という魔法の言葉が、あなたとあなたの大切な人を幸せに導いてくれるでしょう。 とりあえず やってみようよ

タイトル とりあえずやってみようよ
著者 スジャン・リム / 前田まゆみ
出版社 創元社
発売日 2025年01月