えみこの絵本ガイド

二児のママであるえみこがおすすめする絵本のご紹介

【絵本レビュー】あなたのせかいはどんなあじ【モリノヒロコ 】

あなたの世界はどんな味? ― 五感を刺激する、心温まる絵本レビュー

この絵本、「あなたのせかいはどんなあじ」は、ただ絵が可愛いだけの絵本ではありません。読み終えた後、じんわりと心に残る、そんな温かさを持った一冊です。4歳と2歳の娘を持つ私にとって、この絵本はまさに宝物と言えるでしょう。

春夏秋冬、そして日常の“味”

物語は、主人公の女の子が「あのね、わたしのひみつ、おしえてあげる」と、小さな手で丸をつくり、その中に覗き込むことから始まります。そして、その丸の中に見える景色は、なんと「あめだま」に変わってしまうのです!

春には、暖かな日差しを浴びた地面を覗くと、「あったかい おひさまの味」。夏の海を覗けば、「ひんやり、しゅわしゅわ、ちょっぴり塩味」のあめだま。 雨の日の窓辺、公園の砂場、夕暮れの空… 日常の様々な風景が、それぞれ異なる「味」を持つあめだまとして表現されています。 ただ単に「甘い」「しょっぱい」といった味覚だけでなく、「あったかい」「ひんやり」「ふわふわ」といった感触や、「キラキラ」「静か」といった情景まで含めた、五感を総動員した表現が素晴らしいのです。

子供の豊かな想像力を育む魔法

この絵本が素晴らしいのは、単に四季の情景を描写しているだけではない点です。 「あめだま」という、子供たちの想像力を掻き立てるモチーフを使うことで、読者である子供たちは、主人公と一緒に様々な「味」を想像し、体験しているかのような感覚を味わえるのです。 4歳の長女は、ページをめくるたびに「これ、どんな味かな?」と目を輝かせ、自分なりの「味」を想像して楽しんでいます。2歳の下の子も、カラフルで可愛らしいイラストに釘付けになり、指でページを指さしながら、一緒に絵本の世界に浸っています。

雨の日も、楽しい時間に変えてくれる魔法の言葉

特に印象的だったのは、雨の日のシーンです。 外で遊べない雨の日も、手を丸めて覗いてみると、色々な「あめだま」が現れます。「じっとりと静かな雨の音の味」「窓ガラスに流れる雨の模様の味」… 雨の日特有の、少し憂鬱になりがちな雰囲気を、全くネガティブな印象を与えることなく、むしろ「特別な味」として表現している点が、この絵本の素晴らしいところです。 これは、子供たちに「どんな状況でも、楽しい発見がある」ということを教えてくれる、とても大切なメッセージだと感じました。

そして、一番好きな味とは?

物語の最後には、主人公が「いちばんすきなあじ」を教えてくれます。 それは、読んでのお楽しみですが、この「一番好きな味」こそが、この絵本の真髄と言えるでしょう。 読んだ後、子供たちと「あなたの一番好きな味は何?」と語り合う時間を持つのも、素敵な思い出になります。 この絵本は、子供たちと、そして私自身の心にも、温かい余韻を残してくれました。

絵本の魅力をさらに引き立てる、繊細なイラスト

イラストもまた、この絵本の大きな魅力です。 柔らかな色使いと、可愛らしいキャラクターたちが、絵本全体を優しく包み込んでいます。 特に、様々な「あめだま」の色や形は、見ているだけで幸せな気持ちになります。 繊細ながらも力強いタッチで描かれたイラストは、子供たちの想像力をさらに掻き立てる効果があります。

どんな子供や家庭に勧めたいか?

この絵本は、特に0歳~5歳頃のお子さんを持つご家庭に強くお勧めしたいです。 読み聞かせを通して、子供たちは想像力を豊かにし、五感を刺激され、そして何よりも、日常の中に隠された小さな喜びに気づくことができるでしょう。 また、絵本を通して親子で語り合う時間を持つことで、より一層絆が深まることと思います。 絵本の優しい世界観は、忙しい毎日を送るお母さんにも、きっと癒しの時間を提供してくれるはずです。 心温まる時間を求める、全ての親子に贈りたい一冊です。 あなたのせかいはどんなあじ (創作絵本シリーズ)

タイトル あなたのせかいはどんなあじ
著者 モリノヒロコ
出版社 みらいパブリッシング
発売日 2024年11月