10ぴきのかえるのおつきみ:満月の夜に広がる、優しい世界
秋の夜長、子供とゆっくりと絵本を読みたい。そんな時に出会ったのが、「10ぴきのかえるのおつきみ」でした。 この絵本は、ただ可愛いだけではありません。繊細な絵と、繰り返されるリズミカルな言葉、そして何よりも、心温まる物語が、読み終えた後も私の心にじんわりと残りました。
魅力的な絵と、耳に残る言葉のリズム
まず目を奪われるのは、その絵の美しさです。 優しい色合いの水彩画は、秋の草原の静けさ、そして満月の柔らかな光を、見事に表現しています。 かえるたちの愛らしい姿、すすきの穂の繊細な動き、夜空に輝く満月の煌めき…まるで絵の中の世界に吸い込まれていくようです。 特に、満月を背景にしたかえるたちのシルエットは、美しく、どこか神秘的な雰囲気さえ感じさせます。 4歳と2歳の娘たちは、ページをめくるたびに「きれいね!」と声を上げていました。
そして、文章のリズムも素晴らしいです。「すすき、すすき、すてきなすすき」「すてきなすすきは、どこにある?」「すすきのはらへいけば、ある!」と繰り返される言葉は、子供たちにも覚えやすく、一緒に声に出して読むのがとても楽しいです。 このリズミカルな言葉の繰り返しは、まるで子守歌のようでもあり、子供たちを絵本の世界へ自然と誘ってくれます。 何度も読み聞かせても、飽きることがありません。
秋の情景と、かえるたちの仲間意識
この絵本は、秋の情景を美しく描いただけでなく、かえるたちの温かい仲間意識も感じさせてくれます。 10匹のかえるたちは、仲良くすすきの原っぱへお月見に出かけ、一緒に月を眺めて、一緒に歌を歌います。 彼らの楽しそうな様子は、見ている私たちにも幸せな気持ちを与えてくれます。
小さい子供を持つ母親として、この絵本を通して、子供たちに伝えたい大切なことの一つが「仲間と過ごす時間」の大切さです。 日々の忙しさの中で、つい一人で過ごしてしまう時間も多いですが、家族や友達と過ごす時間は、かけがえのない宝物だと感じています。この絵本は、そんな大切なことを優しく教えてくれるようです。
想像力を掻き立てる、月夜の冒険
「10ぴきのかえるのおつきみ」は、単なるお月見の話ではありません。 すすきの原っぱで繰り広げられる、かえるたちの小さな冒険物語でもあります。 月明かりの下、すすきの穂の間を飛び跳ねる10匹のかえるたちの様子は、子供たちの想像力を掻き立てます。 娘たちは、かえるたちがどんな歌を歌っているのか、どんな楽しいことをしているのか、自分たちで想像して楽しんでいるようです。
この絵本を読むことで、子供たちは自分たち自身の想像力を豊かに育むことができるでしょう。 そして、秋の夜長の静けさや、満月の神秘的な美しさを感じ、自然への感性を育んでくれることと思います。
読み聞かせの楽しさ、そして親子の絆
この絵本は、読み聞かせをする親にとっても、大きな喜びを与えてくれます。 娘たちと一緒にかえるたちの歌を歌ったり、絵の中の細かな描写を一緒に探したり… 絵本を通して、子供たちとの距離がぐっと縮まるのを感じます。 読み聞かせの時間は、私たち親子の大切なコミュニケーションの場となっています。
この絵本から、私は子供たちへの愛情、そして自然への畏敬の念を感じました。 それは、美しい絵と、優しくリズミカルな言葉、そして心温まる物語によって、自然と伝わってくるものなのです。
どんな子供や家庭に勧めたいか
この絵本は、特に4歳から5歳くらいのお子さんを持つ家庭におすすめです。 秋の情景や、かえるたちの可愛らしい姿は、小さなお子さんにとって魅力的でしょう。 また、繰り返される言葉のリズムは、言葉の学習にも役立ちます。
もちろん、もっと小さいお子さんや、もっと大きなお子さんにも楽しんでいただける絵本です。 家族みんなで一緒に読んで、秋の夜長を温かい気持ちで過ごせる、そんな絵本だと思います。 季節感を感じさせ、自然への親しみを育み、そして家族の絆を深めることができる、まさに「宝物」と言える一冊です。 穏やかな時間を求める家庭、そして子供たちの豊かな感性を育みたいと願う親御さんには、自信を持っておすすめしたい絵本です。 きっと、あなたとあなたの大切な人たちにとって、かけがえのない一冊になることでしょう。
タイトル | 10ぴきのかえるのおつきみ |
著者 | 間所ひさこ / 仲川道子 |
出版社 | PHP研究所 |
発売日 | 2009年09月 |